巨人軍奮闘記-「希望はないが、金ならある」-

プロ野球、とりわけ読売ジャイアンツについて語ってます。

巨人・野上投手誕生-あなたは大竹投手?それとも…?

 

 

 巨人が野上投手のFAによる獲得を行なったと報道が先日出た。巨人の今オフの補強第1弾である。今回は野上投手が巨人で活躍できるのか、それとも大竹投手の二の舞かについて書いていこう。

 

野上亮磨選手とは

 巨人ファンであまりパリーグについて興味がない人も多いと思う。そんな人やおさらいの意味も含めて野上投手とはどんな選手なのか紹介。

 野上亮磨選手は2008年ドラフト会議にて埼玉西武ライオンズから2位指名を受け入団した。プロ入り前、高校時代は鹿児島県の神村学園のエースとして3年次春にセンバツに出場。準優勝投手となった。しかしプロ志望届を提出するも指名する球団はなく社会人野球の古豪、日産自動車へと入社した経緯ももつ。

 プロ入り1年目の2009年から先発、中継ぎとして25試合に登板し即戦力との期待通りの活躍を見せた。しかしそこから2年間は一軍登板こそあるものの期待通りの活躍をするとこができなかった。2012年から開幕1軍、開幕ローテに食い込むまで成長し、2013年には自身初の2桁勝利(11勝)という成績を残した。ここ数年はあまり目立った活躍をすることはなかったが、今シーズンは初完封勝利を含む11勝をマークし、4年ぶりの2桁勝利をマークした。ちなみに奥さんは元モーニング娘。石川梨華さん。独身時代結構人気ありました。

 

野上投手は巨人で活躍できるのか?


 巨人にFAで来る選手に対してファンもアンチも特に移籍1年目は目が離せない(ファンよりアンチの方が注目しているのは内緒)。ファンは「こいつほんとに戦力になるのかよ」と疑心暗鬼し、アンチは「こんな選手獲得して巨人はバカだなww」とあざ笑うことから始まり、シーズン終了と同時に選手の統括をするプロ野球ファン多数。そんな野球ファンの一人である私も野上投手が活躍できるのか非常に気になる。それはなぜか。理由は大きく分けて3つある。

 

 まず1つ目に2桁勝利を計算できるのかということだ。2桁勝利を挙げる投手はごく限られた選手だけだ。2017年シーズンで2桁勝利を挙げた投手はセリーグでは11人、パリーグでは9人とセ・パ両リーグ合わせても20人しかいない。今年野上投手はその限られた選手の仲間に入ったのだ。援護率や防御率などが絡み合って来るのはごもっともだが、2桁勝利というのは先発投手にとって「イニングが食えてなるべく失点を抑えられますよ」というある種の肩書きみたいなものだ。怪我なく1年間ローテーションを守れて尚且つチームの勝利に貢献した証、それに異論がある時は余程防御率などがひどい時だろう。だが、今年の野上投手は規定投球回も達成し、24登板中14回QS(クオリティ・スタート:6回以上を投げて自責点3以内に抑えること)を達成している点を見れば巨人の菅野・田口・マイコラス・畠以外の投手より計算できるのは間違いないだろう。マイコラスが来年巨人にいる確率は非常に低いことからもマイコラスの穴埋めとしての活躍も見込まれる。しかし、一つ気がかりなのが野上投手は毎年のように規定投球回の達成や、先発ローテで1年間一軍に滞在している経験が少ないことだ。今年たまたま好成績を残せただけかも知れないし、もしかしたら来季以降研究され成績を残せない可能性だってある。なんでこんなに心配するのかって?山口俊に聞いてみてくれ。

  2つ目に若手投手の登板機会がまた増えなくなるのではないかということだ。野上投手は現在30歳。お世辞にも若いと言える年齢ではない。今季巨人の先発陣は例の4人を除くとおじさんばかりだった。特に宮國を除くと内海、大竹、吉川、山口俊と伸び代のない中堅ベテランばかり。これで彼らが一定の成績を残せるなら野上投手は獲得に至ってないだろうし現実問題こいつらじゃ無理だとフロントは判断したのだろう。その判断は間違えていない。しかし、野上投手が彼らの代わりに来季登板するとしよう。するとおじさん達は以前まではローテなどで回っていたのが先発の谷間に食い込んで来るのではないか。今村や宮國、高田や大江などの若手を起用する機会は首脳陣が積極的に起用せねば確率的に小さくなるだろう。FAで獲得して来た選手を優先的に起用するフロントの意向もあるだろう。また、若手を積極的に起用する気があれば野上投手を獲得するとは思えない。今季振るわなかったとはいえ、おじさんはこれまでの実績も経験も若手とは桁違いだ。1億円、何千万円と給料を貰っているからには活躍せねばいけない、来季こそ活躍せねば自分は戦力外。そう意気込む投手がひしめく先発投手社会に来季から野上投手が食い込んで来る。ますます生え抜き若手社員の活躍の場は川崎になってしまいそうだ。

  3つ目に人的補償だ。FAによる移籍前球団に対する補償は金銭補償と人的補償がある。金銭補償について着目する点は野上投手のランクが何なのかということだ。

選手は元所属球団時に年俸が何位だったのかを基準にランク付けされる。

Aランクは年俸が上位3位以内。

Bランクは年俸が上位4位〜10位以内。

Cランクはその他。

野上投手の場合Bランクに属する。

 この場合、金銭補償を埼玉西武ライオンズが選択すれば旧年俸、つまり野上投手が埼玉西武ライオンズからもらっていた年俸の0.6倍の金銭を巨人側から受け取ることになる。

 一方金銭ではなく人的補償埼玉西武ライオンズが選択すれば巨人から選手が1人西武へと移籍することになる。移籍と言っても全ての選手の中から選択は出来ず、巨人側が「この選手は取らないで」と28人の選手をプロテクトした選手を除く選手のリストを西武に送り、そのリストから西武が選択し獲得する仕組みである。

つまり、巨人側が手放したくない選手上位28人を選択し、その28人から外れた選手を西武は獲得できる仕組みである。

 また、先ほどの28人以外に直近のドラフトで獲得した選手や外国人選手(FA権取得済み日本人選手扱いも含む)は元々ルールとして獲得できないのでプロテクトする必要も、獲得を検討する必要もない。

 西武側の情報として人的補償を優先に考えているとの報道が出ていたため巨人から選手が移籍する可能性は高い。

 ようやく本題に戻るが、3つ目の問題として怖いのがプロテクト漏れ有望若手選手である。FAで来た選手よりも人的補償により移籍した選手が活躍するなんとも皮肉な例が少なからずある。

近年で一番有名なのは広島から来たマスオさん、大竹投手の人的補償として移籍してしまった元巨人一岡投手の例である。大竹投手は移籍後1度も2桁勝利を達成していないが、一岡投手は広島に移籍すると一気にその才能が開花。今や球界を代表する優秀なリリーフ投手へと変貌したのだ。この悪しき前例を目の当たりにしている巨人ファンは他球団ファンよりも人的補償のプロテクトに目が離せないのだ。万が一野上選手よりも人的補償で移籍した選手がまた活躍することがあれば今後巨人はFAに対してどの球団よりも慎重になるべきだと思う。いや、現段階でさえもっと慎重になってもらいたいもんだ。プロテクトは若手、中堅をあくまで意識し、ベテランはどんどんプロテクト漏れさせてもらいたい。そうすればベテランの要らない球団は金銭補償で我慢してくれるからである。そんな功労者にきつい球団、イメージが落ちる?FAで大金チラつかせている時点でそんなこと考えるのは不毛だろう。いつだって実力主義ではなくては強い組織は維持できない。現に今、巨人は強い組織ではないのだからこそ、使えない選手に対して厳しい対応は必要不可欠だ。

 

 

 野上投手が大活躍し、マイコラスの穴埋め、あるいは先発5本柱を形成することが1番の願いだ。しかし、そんなにうまいこと行くほどプロ野球は甘くはないだろう。きっと誰かしら怪我で離脱や成績不振が起きるはずだ。その時にチームの負のオーラを払拭できる勢いのある若手が出てくることを頭の片隅で願い、来季のシーズンを楽しみたいと思う。それじゃ、また。